ushidayの日記

主に「IBMi」のメモに・・・

Zend_Authでユーザー認証&DB2のencryption

Zend_Authを使った、ユーザー認証をやってみたので、メモをしておきます。
IBM i(AS/400)の既存データベースに存在している社員マスターのユーザーIDとパスワード情報で認証を行います。
Zend_Authは、データベース認証用に”Zend_Auth_Adapter_DbTable”というクラスが用意されています。このクラスは、コストラクタに”Zend_Db_Adapter_xxxxxx”のインスタンスを渡す必要があり、今回のケースでは”Zend_Db”を使っていなかったので、”Zend_Auth_Adapter_Interface”を実装して、オリジナルの”Zend_Auth_Adapter”を作成して認証してみました。

まず、社員マスターの認証をチェックするメソッドを実装します。認証の判定としては

    • 認証成功
    • ユーザーが存在しない
    • 廃止ユーザーで認証不可
    • パスワードのアンマッチ
    • その他のエラー

の5つとします。

encryptionを使ったパスワードの暗号化

話はソレるのですが、先日発表されたPower7のIBM i OS 7.1では、データベース列における暗号化が可能になるそうです。しかし、自分が使っている環境のV5R4では、それが実現出来ませんので、DB2のEncryptを使って暗号化したいと思います。
暗号化したデータを保存する為には、DDLで下の様に”varchar for bit”を定義するか、DDSで”H”タイプのフィールド定義にする必要があります。

--- DDLの場合 ---
ALTER TABLE EMPL ALTER COLUMN PWD SET
DATA TYPE VARCHAR ( 80) FOR BIT DATA NOT NULL

--- DDSの場合 ---
A            PWD           80H         COLHDG(' パスワード ') 

フィールドのLengthについては、マニュアルに以下の様な記載がありました。

パスワードストリングが指定されているが、ヒント・ストリングは
指定されていない場合は、データ・ストリングの長さ属性に16 を足し、
それに次の8バイト境界までのバイト数を足したものになります。

それ以外の場合は、データ・ストリングの長さ属性に48を足し、それに次の8
バイト境界までのバイト数を足したものになります。

だそうです。

次に暗号化から復号化までの手順です。

    • 暗号化パスワード&ヒントの設定「SET ENCRYPTION PASSWORD 'hoge' WITH HINT 'fuga'」これをやると以降のSQLセッションで、グローバル設定になります。若しくは、SQL発行時に列毎にencrypt_rc2やdecrypt_charの第二引数にパスワードを取る事も出来ます。
    • 暗号化処理「encrypt_rc2('暗号化したい値')」又は「encrypt_tdes('暗号化したい値')」
    • 復号化処理「decrypt_char(復号対象列)」

暗号化パスワードは、暗号化する時と復号化する時に必要となります。ヒントはパスワードを忘れた時のヒントになります。ヒントは「select gethint(pwd) from テーブル 」の様にして、見ることが出来ます。
気を付けるのは、暗号化する際に書き込むフィールドは、無変換(CCSID65535)なので、書き込むジョブのCCSIDに左右されると言う事です。パスワード認証を行う際に、”入力パスワードを暗号化したモノ”とDBの暗号化されたパスワードを比較すると、現行のCCSIDと暗号化した時のCCSIDが違うと、当然不一致になります。しかし、”decrypt_char”を使うと、現行ジョブのCCSIDを反映した状態で復号化されるので、DBの暗号化パスワードを復号化した上で、入力パスワードと比較した方が、ジョブのCCSIDに影響される事がなさそうです。
■暗号化されたパスワード

認証処理の実装

■社員のパスワードを認証するクラス

<?php

class Employee {
    const AUTH_SUCCESS = 1;
    const AUTH_NOTFOUND_USER= 2;
    const AUTH_INACTIVE_USER= 3;
    const AUTH_UNMATCH_PASS = 4;
    const AUTH_ERROR = 9;
    
    /**
     * 認証をする
    */
    public function checkAuth($code,$password){
        
	$db =  ←DB2接続処理
        // 認証
        $sql="select"
                ." code,rtrim(name) as name ,del"
                ." ,(case when decrypt_char(pwd)=? then 1 else 0 end) as auth_flag"
                ." from empl"
                ." where code = ?";
        $result = db2_prepare($db,$sql);
        db2_bind_param($result ,1 ,"password",DB2_PARAM_IN);
        db2_bind_param($result ,2 ,"code",DB2_PARAM_IN);
        if(!db2_execute($result)){
	    $flag =  self::AUTH_ERROR;    //エラー
	    return $flag;
	}
        $row = db2_fetch_assoc($result);
        //認証判定
        if ($row) {
            if ($row["del"] == "D"){
                $flag =  self::AUTH_INACTIVE_USER;  //廃止ユーザ
            }elseif ($row["auth_flag"] == 0){
                $flag = self::AUTH_UNMATCH_PASS;    //パスワード不一致
            }else{
                $flag =  self::AUTH_SUCCESS;    //成功
            }
        }else{
            $flag =  self::AUTH_NOTFOUND_USER;  //ユーザーなし
        }
        return $flag;
    }
}
?>
Zend_Auth_Adapterの実装

”Zend_Auth_Adapter”では”authenticate”メソッドを実装して、”Zend_Auth_Result”のインスタンスを返して、例外に”Zend_Auth_Exception”をスローする必要があります。前述のクラスのチェックメソッド(checkAuth)を使って、こんな感じで実装します。

<?php 
require_once 'Employee.php';
require_once 'Zend/Auth/Adapter/Interface.php';
require_once 'Zend/Auth/Adapter/Exception.php';
require_once 'Zend/Auth/Result.php';

class EmployeeAuthAdapter implements Zend_Auth_Adapter_Interface
{
    private $id;
    private $password;
    private $name;  
    public function __construct($id, $password){
        $this->id = $id;
        $this->password = $password;
    }  
    /**
     * 認証
    */
    public function authenticate() {
        $id = $this->id;
        $password = $this->password;
        $code = null;
        $message = "";
    try {
        //社員インスタンス
        $empl = new Employee();
        $ret = $empl->checkAuth($id,$password);
        $msgCode = $ret;
        //結果
        switch ($msgCode) {
        case Employee::AUTH_SUCCESS:
             $code = Zend_Auth_Result::SUCCESS;
             $message =  "認証OK";
             break;
        case Employee::AUTH_NOTFOUND_USER:
             $code = Zend_Auth_Result::FAILURE_IDENTITY_NOT_FOUND;
             $message =  "ユーザーが見つかりません";
             break;
        case Employee::AUTH_INACTIVE_USER:
             $code = Zend_Auth_Result::FAILURE_UNCATEGORIZED;
             $message =  "ユーザーが廃止されてます";
             break;
        case Employee::AUTH_UNMATCH_PASS:
             $code = Zend_Auth_Result::FAILURE_CREDENTIAL_INVALID;
             $message =  "パスワードが違います";
             break;
        default:
             $code = Zend_Auth_Result::FAILURE_UNCATEGORIZED;
             $message =  "その他のエラー";
             break;
        }
    } catch (Exception $e) {
	throw new Zend_Auth_Exception("予期せぬ例外で認証エラー");
    }
    $result = new Zend_Auth_Result($code,$id,array($message));
    return $result;
    }  
}
?>
AuthAdapterの使用

実際に使用する時は、先ほど実装した”authenticate”メソッドで、Zend_Auth_Resultを取得して、”isValid”メソッドで認証します。trueが返れば成功です。認証結果のメッセージは”getMessages”で、メッセージのリストが返されます。

<?php
    require_once 'EmployeeAuthAdapter.php';
    //認証アダプタ
    $adapter = new EmployeeAuthAdapter($id,$password,$autologin);
    //認証
    $ret = $adapter->authenticate();
    if($ret->isValid()){
         //成功の処理
    }else{
         //失敗の処理
         $message = $ret->getMessages();
         echo $message[0] ;
    }
?>

認証画面は、こんな感じに出来ました。